A9-9820搭載マザーボード

素性が不明な怪しい中華マザーボードを入手してみますた
P1130692.JPG
#某所ではXBOX OneのAPUらしい・・・

■更新履歴
11/2 初版(写真など)
11/4 追記(BIOSなど)(必要なドライバ類)
11/13 一部修正+追記(その他気づいたこと)
11/14 追記(その他気づいたこと)
11/27 追記(必要なドライバ類)
12/21 追記(総評)
12/31 追記

目次

購入元:Aliexpress
製造元:ShenZhen XinHongSheng electronic

http://www.dianjitek.com/index.html/
http://www.dngiot.com/index.html/
http://www.dj-product.com/

1:写真など

・付属品
A9_9820_contain.jpg
マザボ本体、SATAケーブル x1、I/Oパネル
誤算だった対応CPUクーラーまで付属していました。

・表面
A9_9820_front.jpg
メーカーすら不明な謎のMicroATXマザボです(AMD_BL2 V2.3がモデル名か?)。なんといっても中央に鎮座する未発表なAPU:AMD A9-9820(Cato?)と、その両端に2本ずつあるDDR3スロットが一番の特徴ではないしょうか?APUを囲むように配置されたメモリスロット4本と、X79/99マザボのような姿なので、クアッドチャネルだったら嬉しいですね。
一方、左下のヒートシンク付きなのはおそらくチップセット(AMD語でFCH)です。拡張スロットはPCIe x1スロットのみで拡張性は皆無に等しいです。なお販売元の写真には掲載されていたVRMヒートシンクですが、残念ながらついていませんでした(怒)

・裏面
A9_9820_back.jpg
#「funhouse A9-9820」というのもモデル名かと…

・I/Oパネル
A9_9820_rear_io.jpg
モニタ端子はHDMIのみで、今どき珍しいPS/2マウス・キーボード端子があります。

・APU
A9_9820_cpu.jpg
このマザボの最大の主役のAPU A9-9820で、CPUにはJaguar世代8コア(最大クロック不明)とGPUにはRX 350と素性が全く不明なAPUです。ただシルク上には「RE8125FEG84HU」とあるので、これまた素性不明なRX-8125の可能性が…
素性が不明なのでベースのXBOX One用のAPUを元に考えられる最大スペックは、CPU部分は省電力コアのjaguarが8コア、GPU部分がGCN世代で12CU、メモリチャネルが256bit(クアッドチャネル)のようです。

・チップセット
A9_9820_chipset.jpg
シルクに「FCH」とあるので間違いなくチップセットです。「218-0844020」とあるのでデータシート(pdf直リン)から考えられるのは、おそらくBolton世代のチップセットに当たると思われます。

・VRM
A9_9820_vrm.jpg
電源コネクタは4ピンですが、6フェーズのVRMになっています。ベースがゲーム機用APUなので比較的強力なVRMになってると思います。

・GbEとHD Audio
A9_9820_gbe.jpg A9_9820_hdaudio.jpg
どちらもRealtek製の定番とも言えるチップが使われています。GbEが8111Hで割と最近のモデルですが、HD AudioはALC662と2005年頃のモデルでS/N比も現行世代(ALC1200系)と比べてだいぶ見劣りするチップです。

・Super I/O
A9_9820_superio.jpg
ITE製のSuper I/Oです。

・内部ピンヘッダなど
A9_9820_connector.jpg
1枚にまとめてみました。

フロントパネル用ヘッダは下のとおり
9820_frontsw.jpg



2:BIOSなど

*マザボメーカー製と比べて全体的に洗練されていない感があります。

まさかのメモリ相性に遭遇し、AM1やAM3+で使ってきたXMP対応メモリを2枚挿し程度でも起動に四苦八苦する… なんてピーキーなマザボなんだ(`А´)

9820_memboot.jpg
緑枠(Slot1)に1枚挿しだととりあえず起動したので、新しいメモリを買うまでこれで検証します。


■Main
9820_bios_main.jpg
近頃のUEFIとは違い素っ気ない画面です。


■Advanced
9820_bios_advanced.jpg
他のマザボでもおなじみ各種デバイスの設定項目のタブです。

・Advanced→ACPI Settings
9820_bios_adv_acpi7.jpg
これといった特徴なし。

・Advanced→IDE Configuration
9820_bios_ide.jpg
接続したSATAデバイスが表示される。ただ実装ポートが4ポートまでなので、SATA Port4~7はダミーです。

・Advanced→Demo Board
9820_bios_demo.jpg
細部不明

・Advanced→CPM Option
9820_bios_cpm.jpg
使用されていないPEG x16レーン用の設定項目が残っています。

・Advanced→PC Health Status
9820_bios_fan1.jpg 9820_bios_fan2.jpg
所謂「ファンコン」機能です。旧BIOSTAR風な数値で設定するタイプですが、検知されてる温度がめちゃくちゃでまともに機能するのだろうか?
#とりあえず付属のCPUファンは割と静かのまま動いてます。

・Advanced→S5 RTC Wake setting
S5(シャットダウン状態から)復帰するタイマーの設定です。有効にすれば指定した日時で起動できるようになります。

・Advanced→CPU Configuration
9820_bios_cpu.jpg 9820_bios_cpu2.jpg
CPUの機能を設定できます。「Custom Core P-State」で「RX-8120」(デフォルト)か「A9-9820」を選べます。 
#デフォ:RX-8120、クロックちょい高め:A9-9820なんだろうかヽ(´A`)ノ
#要検証項目

9820_bios_cpu3.jpg
「Node 0 Informaton」で選んだP-State値が見れます。

・Advanced→Network Stack
9820_bios_wol.jpg
Wake On Lanの設定

・Advanced→CSM Configuraton
9820_bios_csm.jpg
BIOS互換ブートのCSM機能の設定

・Advanced→NVMe Configuration
9820_bios_nvme.jpg
M.2 SSDの情報が表示される。

・Advanced→USB Configuration
9820_bios_usb.jpg
USBポートの設定

■Chipset
9820_bios_chipset.jpg
ノース(APU内)のI/O、GPU部分、サウス(FCH)の設定項目です。

・Chipset→South Bridge
9820_bios_south.jpg
主にインターフェース周りの設定項目で、細部は各分野ごとに。

*SB SATA Configuration
9820_bios_sata.jpg
SATAモード(AHCIかIDEモード)の選択、なお下段の「OnChip IDE Mode」はパラレルATAエミュレーション用の設定項目があります。

*SB USB Configuration
9820_bios_sbusb.jpg
各USB1ポートずつ無効・有効にできます。

*SB IR ConfigurationとSB SD Configuration
9820_bios_sbir.jpg 9820_bios_sbsd.jpg 9820_bios_sbsd2.jpg
実装されていないIR(赤外線通信)とSDカードリーダーの設定項目。特にSDカードリーダ機能は使えもしないのにデバマネに出てくるので私は無効にしました。

*SB GPP Port Configuration
9820_bios_sbgpp.jpg
FCH(サウス)内蔵のPCIeリンクとAPU⇔FCH間のUMIリンクの設定項目です。最初「GPP Port Link Configuration」(GPP:General Purpose Port、グラボ用でないPCIeレーンを指す)がFCH内蔵4レーン中の(x1:オンボGbE)、(x1:スロット)、(x2:M.2)だと思い、m.2にMAX振り分けようと(x4 Mode)に変更したら、CMOSクリアするまで起動しなくなりました。

*SB Azalia Configuration
9820_bios_sbaza.jpg
Azalia(ALC662)の設定で、無効・有効にできます。

*SB Debug Configuration
デバッグ用項目にあたりますが、この中の「SB SATA Debug Configuration」でeSATA(ホットプラグ)機能の有効・無効ができます。(一部の光学ドライブの相性に効くかもしれない)

・Chipset→GFX Configuration
9820_bios_gfx1.jpg 9820_bios_gfx2.jpg 9820_bios_gfx3.jpg
オンボードGPUのメモリサイズの変更は「Integrated Graphics」を「Force」にすると「UMA Frame Buffer Size」で選べるようになります。(デフォ値:256MB) あと「Gnb HD Audio」はHDMI用の音源です。

・Chipset→North Bridge
9820_bios_north1.jpg 9820_bios_north2.jpg 9820_bios_north3.jpg
主にメモリ周りの設定で「Memory Configuration」で設定できますが、タイミング調整は一切できなく、メモリクロックくらいしか設定できません。


■Security
9820_bios_sec.jpg
BIOSパスワードロックの設定


■Boot
9820_bios_boot.jpg
ブートドライブの設定


■Save&Exit
9820_bios_save.jpg
BIOS設定の保存・破棄の画面、一応プロファイル保存ができるのとEFIシェルも使えます。


■SIO Configuration
9820_bios_sio1.jpg 9820_bios_sio2.jpg 9820_bios_sio3.jpg 9820_bios_sio4.jpg
通常「Advanced」あたりにあるSuper I/O配下のシリアルポート、PS/2キーボード・マウスの設定項目が、なぜか最後尾の独立タブで存在します。


3:必要なドライバ類(Win10)

#暫定版

■チップセット:AM3+チップセット用のが使用できます。(bolton用がhseriesフォルダ内に存在)

9820_chipdrv.PNG
eMMC(SD)とパラレルIDEが検知されますが、eMMC(SD)の方はここを無効にすれば検知されなくなります。

■GPUドライバ:AMDが配布してるドライバはことごとく使えませんが、マザボ製造元?が配布しているドライバが使えます。
http://www.dj-product.com:8809/RX350/RX350.rar

追記:上のURLに繋がらなくなったので、すでに落としたものをミラー → RX350.rar

バージョンは1年前にリークしたものと同一の「24.20.12000.6056」でした。
9820_gpu1.PNG 9820_gpu2.PNG

ただ一部に問題があり、WQHDモニタを使ってるのですが何故かHD解像度までしか表示してくれません…
9820_gpu3.PNG

■GbE(8111H):Realtekが配布しているドライバが使えます。

■HD Audio(ALC662):どうもRealtek公式で配布は終わったようなのでstation-driversあたりで拾うしかないです…


4:その他気がついたこと

・メモリ周りが非常にシビア
当初、手持ちのADATAメモリを試したのですが、2枚挿し以上でPOSTすらしない怪しい挙動でした… ひとたび起動しなくなるとCMOSクリアした後に、Slot1のみにメモリを挿さないと起動しませんでした!

XMP対応メモリがまずいのかと思い、Crucial製のネイティブDDR3-1600の4GBモジュールを新たに購入して試すことに。
9820_mem_crucial4g.jpg
#マザボとほぼ同じくらい¥かかったぞ!(#`А´)

9820_mem_1slot.jpg 9820_mem_2slot.jpg 9820_mem_4slot.jpg
左から1枚、2枚、4枚挿しで、この挿し方でないと起動しませんでした。
#3枚挿しは何故か8GBまでしか認識しないので検証から除外

ADATAメモリで困難だった2枚、4枚挿しも無事起動。Crucialメモリを使うと拍子抜けするくらいすんなり起動したので、今までの苦労は一体何だったのか… 遥か昔に経験したnForce2のデュアルチャンネル並みに苦労しましたぞ( ゚Д゚)

せっかくなのでメモリベンチをかけてみたのですが、1->2->4枚挿しと順当にスコアがアップしてましたので、このマザボはクアッドチャネル仕様かなと思います。
mem_1slots.PNG mem_2slots.PNG mem_4slots.PNG
#左から1枚、2枚、4枚挿し

・最大メモリ容量は16GB?
併せて8GBモジュールを追加で用意し試してみたところ、2枚までなら問題なく認識しましたが、4GBモジュールを追加で2枚挿したところ16GB以上認識してくれませんでした。
9820_mem_P1130745.jpg

・M.2レーンはPCIe 2.0 2レーン
手持ちの960EVOを挿してみたところ「PCIe 2.0 2レーン」で認識されていました。ベンチもレーン相応の結果になりました。
9820_mem_m.2.jpg nvme_lane.PNG

nvme_bench.PNG

・内蔵GPU「Radeon RX 350」の使用感
定番ベンチの3DMarkを走らせた結果がこちら↓です。
9820_3dmark.png

DX12テストの「Time Spy」がないのは意図的ではなく、現状ドライバの不具合でDX12系アプリが起動しないせいです。
9820_dx12_1.PNG 9820_dx12_2.png
#3DMarkとCOD MW

対応ドライバが製造元?と思われるところから配布されてる1つしかなく、他のドライバを試すという試行錯誤が現状行えていません…( ;∀;)
 この件で現在AMDに問合わせ中で、結果が判明次第追記します。
#追記(11/14)
AMDに問い合わせたところ、「A9-9820は組み込み用製品だから、ドライバは製造元に渡してる。よって製造元に問い合わせよ」(意訳)という回答が来ました…

・スタンバイ/休止状態が使用できない
どうもBIOSが対応していないらしく、このマザボでスタンバイは一切使用できません。
9820_str_1.png 9820_str_2.PNG
スタンバイを多用するような使い方では大変致命的な仕様です。


5:総評

最初はXBOX用APU転用品の強力なiGPUが付いた面白いマザーだと思ったのですが、現状では「コレクター用アイテム」としか言いようのないマザボです。

まず、第一にGPUドライバがダメすぎる。唯一動くドライバはとりあえずWindowsが動作するベータ版というべき完成度で、DX12系アプリはほぼ全滅です。手持ちのBF4(DX11)を動かしてみたものの、HD解像度で中設定ですら30-40fpsと少々力不足感があり、とてもじゃないが「楽しめる」レベルで動作してくれません…

また、予想はついたもののJaguarコアは今となっては貧弱すぎる。いくら省電力系コアのJaguarが8コア載ってても、Win10の動作ですら以前試したデュアルコアなAthlon 200GEよりもたつき(もっさり)感を感じ、各種ソフトのインスコ時の解凍動作時に時間がかかったりと、軽負荷といえるような動作ですら「遅さ」を感じてしまうのは大きなマイナスです。
#同じJaguarコアなシングルチャネル+iGPUのAthlon 5350より、さすがにクアッドチャネルメモリなだけあって低負荷ならまだサクサク動きます

そしてマザボの完成度が低い点が致命的。メモリがシビアで安定性に欠け、BIOS周りの未成熟さ、そしてメーカーのサポートページが不明確な点。現状ではとてもじゃないが常用する気になれない仕上がりです。

クアッドチャネル仕様や強力なiGPUを内蔵と、ハードウェア的には十分なポテンシャルはあると思いますので、これらを活かしきれる正式なRX 350対応ドライバがリリースされれば(良い意味で)化ける可能性はあります。しかし現状ではそういう完成度ではないので、高性能APUが欲しければRenoirを使ったほうがはるかに幸せになれると思います。

#正式版ドライバリリースしてくれないかなぁ…('A`)

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